デザインスタジオクセモノ
Xemono Inc.
2024/02/22
数学者
何が正解かわからんところで、できることを考えている。
かっこよく言うとそういう仕事なのだけど、正直めちゃくちゃ辛い。
手を動かせば動かしただけ進む作業っぽいものと違って、考え事は机にメモを広げて難しい顔をしている時間の方が長い。客観的に見れば難しい顔をしている時間は何もしてないように見えるし、主観的にも何かを成し遂げてる気はしない。4時間ぐらい難しい顔をしていると、たまにあ!ってなってちょっと進む。もし時給で動いていたらこの4時間の時給を請求するか悩んでしまうと思う。
そういうとき、父が数学者の話をしていたのを思い出す。
父は定年前は企業の研究機関で採用をしていた。いろんな人が面接に来て、自分の強さをアピールするのだけれど、数学をしていた人は決まり文句のように「自分は1週間考え続けることができます」とか「僕は4日考えられます」とか言ってくるらしい。「あの先生はもう3年も考え続けてる」とか。
難しいことをするには考える必要がある。数学者ともなればたくさん考えられることも必要だろうと思うし、4日間でも邪魔されずに考えることができるのは幸せだろう。父が面接をしていたのはけっこう前の話ではあるけど、今でもある程度真実なのだろうなと思う。
自分は数学者にはなれなかった。でも、こうして考えている時、近い仕事なのかもしれないなとは思う。