Xemono 社長日記

20260815
明日には釧路を出ることになっている。同行の庭石さんと夕焼けを見に、なるべく西の公園に向かった。建物が結構多くて夕焼けはかなり遮られてしまう。庭石さんは「端っこに行ってみよう」と言う。自分は正直気は進まなかったけれど「歩こう」と言って、一緒に埠頭へ向かった。
埠頭には車がいくつか停まっていて、イチャつくカップルもいた。何にも遮られていない海と空もあった。空にはカールした雲と長い雲があって、長い雲は右の端が空の果て、左の端も空の果てまで伸びていて、夕焼けの名残が雲のお腹を少しだけ明るくしていた。私は水平線を眺め回して、雲がそれより長く伸びているのを改めて確認した。地球、でかすぎる。来れてよかった。陸には端があって、行けば海が見えるんだ。庭石さんが連れてきてくれたんだ。お前が迂回の王だよ。すごすぎる。暗すぎる道を庭石さんが歌うのを聞きながら戻った。帰ってからもまだ、頭の上に空とそれを横切る巨大な雲があるようだった。

20260814
釧路にきて1週間になった。自分探しの結果は大体定まってきた。
対世界
なぜか長いこと忘れていたのだけれど、自分は世界から得ようとするばかりで、しかしうまく得られずに困っていたように思う。しかし必要なのは、自分が世界をどう豊かにしていきたいかだ。忘れてたな〜。でも、思い出せてよかった。
対自分
自分は迂回派である。迂回派は直進を良しとしない。回りくどく、しかし向かう。最短経路では出会わなかったものが入り込める余白を残しながら行く。自分にも他人にも、そして世界にも、気まぐれの余地を増やしていくことが、いいことだし必要だと思う。迂回のある世界の方が豊かだよな。
対仕事
自分はどうやら小さなルールからいろんな場所で良い反応を引き起こすことが得意なようだ。知性bot(Xemonoで作ってるかわいいトカゲロボ)もあまり複雑ではない反応から、人々の間で良い時間を作り、そして相手の良いところが見えてくるように設計している(小さいと言っても今はかなり立派なロボであるけれど)
小さいルールが小さいのは分かりやすくするためだけでなく、種子のように小さくして、いろんな環境で芽を出せるようにするためでもあるし、冬を越すためでもある。UNIXの小さなコマンドが、単体では単純でも組み合わせによってさまざまに働くように、小さなルールは環境を変えて生き延びられる。私にはそれが、種子が冬を越すために小さく畳まれていることにも似て見える。
そういう種みたいな小さくてよく育つものをこれからも作っていきたい。好きだしそれは面白いと思うし、何より気まぐれを自分にも世界にも許すものになると思う。複雑な仕組みは使い方を決めつけてしまうけれど、単純な仕組みは使い手に解釈と遊び方を許す。ルールが明らかだと人はその中で気まぐれに振る舞いたくなるし、その気まぐれにルールは報いるものであってほしい。
今作り中のだんごbotというのもある。これは「だんご」と呼ぶとあ〜んまでのひらがなを1文字選んで「○んご!」と返すものだ。だんごは「あんご!」とか「いんご!」(これはギリギリ)とか言う。しかし、団子が「やんご!」と言った時、本気で嫌そうに見えて面白かったんだよな。そういう、人間の世界に気まぐれを増やして、たまの奇跡でそれを報いるものを作れるといいよなと思いました。

20260808
釧路には主に内省のために来た。カフェもたくさんある釧路で、とにかく自分探しだ。釧路出身の建築家・毛綱毅曠(道中、モヅモヅと親しみを込めて呼んでいた)が設計した釧路フィッシャーマンズワーフMOOを覗いたり、お祭りのはし巻きを食べたりした。
高台に登ると机があった。とりあえず持ってきたノートを広げる。22度ぐらいの風に吹かれている。日差しは普通に夏らしく突き刺さるようなのに、風が涼しすぎる。夏の北海道でも釧路は近くを流れる親潮の影響で特に冷たい風が吹く。
内省した。やりたいことリストを書こうとして、やりたくないことリストが生まれた。そういえば、友達の一人はめちゃくちゃ内省が得意で死ぬほど内省してたけど、そいつは特にどうにもならなかった。そのことを思い出しそうになったけれど、事前に医者と話して抗鬱薬を増やしていたためスルーできた。ナイス。嫌リストを裏から見ると非嫌リストが見えてきて少し安心した。自分って受け手の解釈を限定するものより、反対に、受け手の解釈や遊び方が残されているものが好きらしい。自分にも好きなものがちゃんとあったんだ。確認できてよかった。

20260807
仕事が空いていたので思い切って8月を休みとした。社員の庭石さんと釧路へ行く。釧路は夏でも22度くらいしかないと聞いたのだ。
旅行初日、宿へ向かうと夕焼けで有名な幣舞橋があった。もう日は暮れているのに橋の上には人が集まっていて、 夕焼けの残りの色を惜しんでいるのかなとノリで一緒に見ていたら突然花火が打ち上がった。くしろ港まつりの初日だったのだ。

20260805
海botは、いつも手伝ってくれる業務委託の人が「海が通話に来てくれたらな」と言ったことから生まれました。なんとかシンセサイザーをゴニョゴニョして音を作って、通話に置いてみると、話が途切れた時に波が来て、なんかすごく穏やかで良かった。海ってそもそもいいしな〜。
海は24時間かしこ研の浜辺チャンネルにいます。