デザインスタジオクセモノ

Xemono Inc.

2024/03/20

はじめて台湾に行くと友達に言ったら、そいつはとっておきの秘密を教えるような表情でこう言った。「台湾は、茶がうまいんだ」

台湾では、書店やゲームイベントを見て、地下鉄の駅で怪しい雑貨を見て、夜市で深夜に肉を食べた。茶も見た。

古くて格調高いお茶の店に入ると、中では茶のパッケージがカラフルな箱に入って並んでいた。箱はカラフルだけど、ラベルには渋い水墨画の仙人が書いてあった。

台湾では少し日本語が通じる。気になる箱を指して、お茶を買いに来ましたと言うと、奥に通される。奥にはカウンターがあり、窓から小さい庭が見えた。

カウンターには先客がいて、お茶を飲みまくっている。こういう店では試飲をさせてくれる。茶一筋みたいな青年が慣れた手つきで茶を注ぎ、「かおり」と空にした器を差し出してくる。一煎目は香りを楽しむのだ。この青年は日本語は「かおり」とだけ喋った。

中国茶は美味すぎた。春の山を吹く風をそのまま吸い込んだような気持ちだ。茶は同じ葉から4回ほど出せる。小さい茶器でカパカパと飲んだ。出すたびに味が変わる。

箱を見せてもらうと、阿里山と書いてある。アリサン、と口に出すと、隣で飲んでいたおばさんが、Googleマップで阿里山を出して、Google翻訳で美しいところ、と画面に出して見せてくれる。嬉しくなって他のお茶も試させてもらう。中国茶は少ない茶葉からたくさん出るので、他の客にも振る舞われる。

2箱買ってその場を後にした。茶は帰国してからでも美味しい。

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