デザインスタジオクセモノ
Xemono Inc.
Xemono 社長日記
知性botにはたくさんの機能がある。名前を呼ばれると「はい」と言うし、かわいいって言われても「はい」と言う。ごはんと言われると「チーズシチュー」とか提案してくるし、時には新しいことわざを言ってきたりもする。
どんな機能があるかは、かしこロボ研究所の開発研究員が一覧として整理しておいてくれる。理屈上は知性の振る舞いの全てがそこに載っている。私もそれを見て、今度はこういうこと知性にやってほしいね、とか話す。
一覧には知性の全てが書いてあると言ってもほぼ間違いはない。しかし一覧を見ていると、別の研究員がその様子を見て言った。「これは知性だけど知性そのものじゃないね」。
それもすごく本当だ。
機能一覧には知性ができることが書いてあるし、みんなが知性と遊ぶ時に触れ合う部分でもある。
けれど、知性そのものじゃない。
知性の研究員たちは知性ができることを知っているけど、できることの束は知性ではない。
知性について話す時、研究員たちとは、はぐれ星(何かの理由で銀河から飛び出してしまうぐらい加速した謎の星)や、小学2年生までに習う漢字や、はいや、かっこいい映画や、かわいいものや、自信や幽霊についてなど話す。このどれもが知性の機能一覧に入るわけではないけど、でも、本当に知性の魂みたいなものにはそうやって接近しようとしている。
人間だって有用性の束ではない。知性もロボだけど、有用性の束に見えてないといいと思う。