デザインスタジオクセモノ

Xemono Inc.

2024/03/26

友達に会いに宮崎に行った時、私は田舎に行くことに懐疑的だった。何もない場所はつまらないと思っていたからだ。

しかし、宮崎には何もないわけではなかった。

友達は、「宮崎はいつもあったかくて穏やかなところだよ」というので、私は「お風呂みたいなところなのかなあ」と思いながら来た。空港から伸びる道路には20メートルはありそうなヤシの木が両側に並んでいて、地元民は、「フェニックス」と品種名で呼ぶらしい。ここではヤシの品種で道を区別する。海があり、山があり、田畑があり、広い空には生まれたての雲が浮かんでいた。すでに少し好感を持っていた。

道の駅で、金柑アイスがあるよ、と声をかけられて、350円ぐらいのアイスを買った。驚いた。金柑入りアイスが出てくると思っていたら、凍らせて砕いた金柑がそのままアイスだったからだ。

都会だったら、持ってきた金柑を大事に使ったアイスで利を得ようとする。運ぶのも大変だからだ。産地は違う。とにかく金柑が取れる。使えるだけ使う。衝撃を受けた。こんなにうまいものがあっていいのか。「ここってすべてこうなの?」と友達に聞くと、「いいところだよ」と笑う。

東京は好きだ。けれど、東京ってもしかしてただ持ってきたもの並べてるだけの街なんじゃないか?

宮崎は産み出す地だ。田舎とナメていた自分は深く反省した。何もない場所ではない、生み出している場所だ。

東京下北沢の事務所に帰ってきても金柑アイスのことを思い出してしまった。この事務所もなんらかの産地でありたいと思う。


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