Xemono 社長日記

ド鬱だった15年前、当時の友達に「お前は中国を見た方がいい、見たら絶対良くなる、元気出せ」と言われて絶縁した。当時の自分は、元気出せと言われるのも耐えられないぐらいに日々が無理だったのだ。
そしてそれから15年、今年の4月、別の友達に「杭州で漢詩に歌われた湖を見ようよ」と誘われて中国に行くことにした。2日かけて湖を歩いて一周。春の西湖はすごく良かった。今まで行ったところの中で1、2を争うぐらい良かった。お茶も美味しい。中国語でメニューが読めなくても、QR読んだらスマホで飯も買えるし美味い。漢字が読めるって最高だ。
歩いているとショッピングモールがあり、飲み物を買おうと入るが、すぐにそのショッピングモールの様子がおかしいことに気づく。入口からはスポーツ用品店しか見えないのに、中はなんというか、中野ブロードウェイを明るくしたみたいな感じだ。痛バッグ専門店やアクスタ専門店、漫画のキャラの等身大パネル。いや、ここオタクビルじゃん!
すっかり面白くなって、二人でコーヒーそっちのけで全ての店を回ることにした。オタク…オタクビルというかほぼ中身はミニアニメイトの雑居だ。「打破次元壁 万物皆可AI」と書かれた変な看板もあった。
エスカレーターで3階に上がったところで、爆音で日本語の音楽が流れていることに気付く。これはボカロの曲ではないかと近づいてみると、コスプレしたオタクが広場を囲むように座っていて、知っている曲が流れたら立ち上がって踊る謎のスペースだった。ステージの奥にはプロジェクターで「宅舞無限 -Otaku Dancing Infinite-」と映されていた。
皆、堂々とした踊りぶりだ。他人の目をいい意味で気にしていない。素人でも、みなかっこよく見えた。
モールに入る前の観光地の撮影スポットではおじさんもおばさんも、昭和の俳優のように決めポーズをとって写っていた。突然精神性を理解する。中国では、遠慮とか冷笑とかがメジャーじゃないんだ。冷笑アイランドこと日本から来た私は、その後、宅舞無限を立ったまま1時間も見て、次の日も来て2時間見た。
冷笑の時代は終わるんだ。
しかし私の心に冷笑はまだある。その冷笑を最後まで殺しきらないといけない。そう思った。
そして15年前の友人にメッセージを送った。「あの時は反発してごめん、君は中国でこれを見せたかったんだと分かった」。「私も当時は意見を押し付ける傾向があったからなw」とすぐに返事が来た。